特集【動物病院ができる備えは?東京で災害が起きたとき】(TOJUジャーナル2026年10月号(621号))

特集 「東京での災害時に備える」

地震や豪雨など、災害時は決して遠い場所で起きる出来事ではありません。2026年も各地で大きな被害が発生し、今なお復旧や生活の再建に取り組んでいる方々がいます。被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

今号の特集では、平井潤子氏によるセミナー、および谷川久仁氏とのディスカッションの動画を撮影しました。災害時を「他人ごと」ではなく、自分自身や家族、そして動物たちの身に起こり得ることとし、平時に何をしておくべきか、発生時には何をするべきかを考えました。

東京都獣医師会がこれまでの災害時対応で培ってきた経験ももとに、平時から考えておきたい備えをお伝えします。

※今号の特集記事は、2026年9月14日に収録した動画「東京での災害時に備える」をもとに構成しています。

出 演
:平井潤子 氏(東京都獣医師会 顧問/NPO法人アナイス 理事長)
:谷川久仁 氏(南台どうぶつ病院 院長/東京都獣医師会 中野支部 防災担当/VMAT隊員)
進 行
:小川篤志 氏(東京都獣医師会 業務執行理事)
収録日
:2026年9月14日

この記事のポイント

  • 災害対策の出発点は、発災後の行動ではなく発災前の想像力。まず自分が生き残る「自助」がすべての前提になる。
  • 入院中・トリミング中・ホテルで預かっている動物は、法的には「他人の財産」。無対策は損害賠償のリスクに直結する。
  • ペットの避難対策は、動物を守る話だけではなく、人の安全・地域環境・公衆衛生を守る災害対策へと位置づけが変わってきた。
  • 避難所運営の盲点は「動物好きな人」。苦情を出すのは動物が苦手な人だが、実際の事故を起こすのは好きな人である。

【目次】

災害時のたびに語られるのは、発災後の行動だ。どこへ逃げるか、何を持ち出すか、誰に連絡するか。しかし東京都獣医師会顧問の平井潤子氏は、その前段に目を向ける。「災害が起きる前に、発災時にはどんなことが起きるのかを、なるべく解像度高く想像し、備えておく。そうすることで、実際に災害が起きたときに、よりスムーズに効果的な動き方ができるのではないか」。東獣ジャーナル2026年10月号 web版の特集は、この問題意識から始まった。

01 まず、生き残ってください

講演の冒頭で平井氏が示したのは、自助・共助・公助という三つのキーワードだ。最初に自分と家族、スタッフ、そして来院している飼い主と預かっている動物を守る自助。次に、支部の会員同士、あるいは隣接する支部や獣医師会の間で獣医療体制を守る共助。そして、診療を再開し、獣医療を求める飼い主と動物に提供する公助である。

順序には意味がある。平井氏が最初に伝えたいのは、自助の徹底だった。

「まずは生き残ってください。先生、お一人お一人が生き残ってください」

平井潤子

病院と自宅が離れている先生は少なくない。発災時にどちらに留まるのか、家族は無事なのか、自分は病院を離れられない——そのときにどう動くのか。こうした想定を、スタッフや看護師と話し合っているだろうか。話し合ってあるからこそ、昼間に発災した場合に、来院している飼い主や動物、入院中の動物を守ることができる。平井氏はそう問いかける。

そこで欠かせないのが、家族の安否確認の方法、連絡が取れないときの行動、そして学校・幼稚園・デイケアサービスといった離れた場所にいる家族の対応を、それぞれ確認しておくことだ。そのうえで、診療施設の耐震性、薬棚や照明、キャスター付き什器の固定、施設内に留まる場合の備蓄、経営が途絶えたときに従業員を守れるかという保険やBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の設計、外出中・非番のスタッフとの連絡手段までを点検する。

具体的な危険も示された。手術前の準備段階で、キャスター付きの台に動物がチューブでつながれている状態を想像してほしい。揺れが起きればチューブが引っ張られ、台が動けば動物は落下してしまう。平成28年熊本地震の後に話題となった、震度7の揺れに、手術をしていた医師や医療スタッフが、身を挺して患者を守っている様子が映し出されていた動画のような状況が起こりうるのである。発災時に大きな揺れが生じる中、全身麻酔下で開腹手術中であった場合に、どのように行動するのか。また、万が一、手術室内が停電した場合に、誰が、どのような手段で術野を照らすのか。あらかじめスタッフ間で話し合い、具体的な行動を決めておくことが必要である。動物を実際に動かさない図上訓練の重要性も、繰り返し強調された。

02 入院中の動物は「他人の財産」——法的立場という視点

見落とされがちな視点として、平井氏が挙げたのが動物の法的立場である。入院中、トリミング中、ホテルで預かっている動物は、飼い主がそばにいない。法的には「他人の財産」にあたる。何も対策しないまま動物が負傷したり亡くなったりすれば、損害賠償請求に発展する可能性がある。

同じ院内でも、立場は三つに分かれる

立場 対応の要点
受診中の動物 飼い主が同伴している。飼い主の安全確保と帰宅・移動の促しが中心になるが、応急処置が必要な場合に何を優先するかを決めておく。
入院・預かり中の動物 他人の財産。飼い主との連絡手段の確保が前提になる。
院内で飼育している動物 自分の財産。命を粗末にしてよい理由にはならないが、万一の際の補償内容が他人の財産とは異なる。

発災直後に、飼い主が負傷した動物を動物病院へ運び込む動きは、災害対策本部や会の体制が整う前に起きる。平井氏は、動物病院では発災直後から、自分が旗を挙げるかどうかに関わらず、獣医療を求めてくる飼い主への対応が生じると指摘する。だからこそ、体制が整っていない段階で何ができるかを、あらかじめ考えておかなければならない。

03 東京都獣医師会が積み上げてきたもの

共助と公助の側に目を移すと、東京都獣医師会が長年かけて整えてきた体制が見えてくる。本会は有事に備え、危機管理室を設けて会長を危機管理室長としている。28の地域支部を6ブロックに分け、ブロック長を置いている。発災時には、東京都動物対策本部の構成メンバーとして動く立場、指定地方公共機関として獣医療の専門性を生かし都民に資する活動を行う立場、会員を守る立場、そして支部が基礎自治体と協定を結んで行う災害支援という、複数の役割を同時に担う。この多重性をどう整理するかが、組織としての課題だと平井氏は述べる。

ここ30年の歩みで積み上げられたものは多い。東京以外で大規模災害が起きた際の支援の募金活動、被害の大きい地域から東京へ避難してきた飼い主のペットの一時預かり、そしてそれに手を挙げる会員病院を募る仕組みは、すでに円滑に動く段階にある。三宅島噴火災害と東日本大震災では、動物救援センターの運営を経験した。地方の獣医師会として他に例のない実績である。全国の獣医師会に先駆けて指定地方公共機関の指定を受け、新型コロナウイルス流行時には感染症対策セクションから発信した情報が、環境省や厚生労働省のホームページにリンクされた。

近年はVMAT(獣医療災害支援チーム)が立ち上がり、上野会長の提案による会員相互支援システム「RIMOT(リモット)」も動き始めている。自院が被害にあい、入院動物を移動させたい会員がマップ上に旗を挙げると、近隣の動物病院が受け入れ可能な頭数を応答する、といった仕組みだ。現在はテスト稼働中で、まもなく全会員で稼働する予定だという。

西日本豪雨で被災した岡山の動物病院の写真を、平井氏は紹介した。中心でにこやかに笑顔を見せているのが被災した院長。隣に手伝いに駆けつけた会員の先生が座っている。「仲間がすぐに駆けつけてくれ、一緒に片付けてくれたことが、すごく心の支えになった」。その言葉が、こうした仕組みの価値をよく表している。

04 ペットの避難対策は「人と社会を守る対策」へ

講演で最も大きな変化として語られたのが、ペットの避難対策の位置づけである。当初は「被害にあった動物を救護し、負傷した動物に治療を提供する」ことが主眼だった。しかし災害対応を重ねるうちに、同行避難できなかった場合の様々な課題が明らかになっていく。

避難しないという選択をする人が現れ、その人を救護するために、救助側が危険な場所へ入らなければならなくなる。動物を連れていけないために犬を放してしまう事例も生じた。動物が苦手な人にとっての恐怖、咬傷事故、排泄物による公衆衛生の問題、狂犬病予防対策の難しさ。これらは地域環境に大きな影響を及ぼす。

だからこそ、災害時のペットに関する活動の趣旨は、動物の救護・保護・飼育・譲渡だけでなく、飼い主の支援、避難所や仮設住宅でのトラブル対策、公衆衛生対策を含み、避難所や仮設住宅の円滑な運営に寄与するものへと広がった。この思想は名称に表れている。かつての「動物救護本部」は「動物対策本部」へ、環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」は「人とペットの災害対策ガイドライン」へと改められた。

一方で対策が進まない理由も、平井氏は指摘する。ペットの避難対策を動物行政と動物側だけで考えてしまうことだ。学校避難所で取り組みを進めるには、災害担当部署や教育委員会、施設管理者である校長・副校長、そして避難所運営組織である町会や自主防災組織、まちづくりセンターとの連携が要る。聴覚障害や視覚障害のある飼い主がペットを飼っている場合もあり、福祉部局との協力も欠かせない。どの部局と連携するのかという視点を持つことが、解決のヒントになる。

飼い主に対して平井氏が求めるのは、自立である。「災害が起こったら助けてくれるんだろう」という他力本願の飼い主にはなってほしくない。自分のペットを守る飼い主力と、自分自身が生き残る防災力を高めること。そして、そうした成熟した飼い主が増えることが、日本の動物の社会的地位を上げることにもつながる。災害対策に関心のない飼い主にどう伝えるかという難問については、動物病院の待合室が最良のプラットフォームになると指摘した。「うちの子がかわいい」という気持ちで誰もが訪れる場所だからだ。

避難所にペットはいた

「過去に実際に起きた災害時、たとえば阪神・淡路大震災では約8割、能登半島地震では約6割の避難所では事実上のペット同行避難が行われていた事実がある」と平井氏は言う。これらの事例では特にペット同行に関する可否や取り決めが事前にあった訳ではなく、各避難所が目の前の現実に即してゾーニングするなどして折り合いを付けた結果として同行避難が実現していたとのことである。

05 対談で語られた、三つの落とし穴

後半の対談では、自助の具体論が交わされた。小川氏は、自分の子どもが登校途中や電車通学中に被災したらどうするかを家族で話しているとしつつ、「動物病院の中でスタッフとそういう話をしたことがある病院って、そう多くないのではないか」と問題提起する。谷川氏は自院の例として、スタッフが病院の周辺に住んでいるため「何かあったら病院に来てください」と伝えていること、水をストックし「一人何本ずつ持っていって」と話していることを挙げた。

水——停電すると、蛇口は止まる

意外な盲点として挙がったのが、停電と水の関係である。ビルに診療施設を持つ場合、屋上にタンクがあっても、停電すれば揚水ポンプが動かない。しばらくは出ていた水が、ある時点から出なくなる。「停電と水って、あんまり結びつけて考えられる機会が少ない」と平井氏は言う。タンクがある建物なら、まず器という器に水を貯めておく。水がなければ手を洗うこともできない。

電気——黒電話が、いま効く

平井氏は、電化製品が電源を前提にしていることを指摘する。ファン付きのストーブは、灯油があっても電気がなければ暖まらない。そして電話機。電源が切れ、携帯も充電が切れれば、連絡は取れなくなる。平井氏は自宅に「モジュールを差し込むだけでつながる昔の黒電話」を用意しているという。電気がなくても動くものを用意しておくことの重要性が、実感を伴って語られた。

火——消防法対応という、開いていた穴

小川氏は、動物病院で消防法の対応が不十分なケースが多いと指摘する。消火器が置かれていない、避難経路が確保されていない、などだ。地震は火災と密接に関わる。特に東京は建物同士が近く、隣の建物の火災が延焼する現実的なリスクがある。谷川氏は支部の先生方への呼びかけとして、自宅避難を前提とした準備、棚が落ちないようにする突っ張り棒、防火対策の防災カーテン、消火器を挙げた。

もう一つ、対談で深く掘り下げられたのが「命のジレンマ」である。手術中の動物の命、自分の命、家族、従業員。小川氏は、損害賠償の話と「まず生き残る」というメッセージの対比によって、自助の重要性がより深く理解できたと語った。平井氏は、東日本大震災の発災時間は平日の15時過ぎの診療中で、スタッフを帰宅させるべきか迷い、停電で外が暗くなるなか、「これは自宅に帰せない」と病院に留まる判断をしたという病院の事例を挙げた。そのうえで、スタッフ一人ひとりが家族と連絡を取れないという問題が生じたことを例に、リアリティを追求したシミュレーションの重要性を強調した。最近では、「開腹手術中に被災したらどうするか」という難度の高いワークショップも行っているという。

06 避難所運営の盲点は「動物好きな人」

対談で最も意外性のあった指摘が、これである。避難所でペットをめぐる問題を起こすのは、動物が苦手な人ではなく、動物が好きな人だという。

「苦情に関してはアレルギーがある方、嫌いな方なんですけど、実際のトラブルに関しては好きな人が起こしてる」

平井潤子

アレルギーや苦手意識については問題が可視化されやすく、場所を分ける、動線を分けるという対処のしようがある。しかし動物が好きな人は、飼育スペースに入り込んで動物に触れたり、逃がしてしまったり、食べてはいけないものを与えたりする。過去の避難所では、昼食の焼きそばパンが余ったからと、犬の生態を知らないまま悪意なく与えてしまう事例もあった。中野支部の防災訓練でも、規制線を越えて入ってきた人が咬まれかける事例があった。訓練中に事故が起きれば訓練自体ができなくなる。だからこそ、獣医師会などの組織が運営に入り、きちんと助言と支援を行う必要がある。

谷川氏は中野区の実情を紹介した。区内45の避難所すべてで同行避難が可能で、避難所地図には動物の場所、傷病者の場所、その他の場所が示されている。町会から立ち上がる避難所運営委員会では、本部長が独断で場所を変更できる運用になっている。住み分けは避難所ごとに、意外とできてしまうものだという。

小川氏は、避難所を回った経験から別の問題を挙げる。発災から1週間から10日ほど経つと、同行避難が可能な避難所、動物を連れてきてはいけない避難所、逆に動物がいないと入れない避難所へと、実質的に分化していく。しかし「どこの避難所がそれをやっているのかという情報が全くなかった」という。平井氏は、受け入れは条件によって千差万別で、ペット可としていても避難者が多ければ受け入れられなくなるため、自治体が事前に公表することに慎重になる事情を説明する。「可」と書いた以上は断れないという意識が働くからだ。ただし指定避難所では「ペット同行避難」という言葉が浸透し、環境省のガイドラインもあり、一度は不可としつつも話し合いで融通が利くようになってきた実感があるという。現に、避難所単位ではなく教室単位で分かれる運用も生まれている。

07 「必要なものを、必要な量だけ」——支援物資と医薬品

熊本や岡山では、倉庫が埋まるほど支援物資が集まった。その分配をどうするか、そして災害時に何をどんな方法で送るのが適切か。小川氏の問いに対し、平井氏は「ラスト1マイル」という言葉で応じる。どこで何が必要か。どこで集積し、誰が管理し、どう届けるのか。行政の力だけでは対応できない。避難所から情報を吸い上げる仕組み、ボランティアや動物愛護推進員との連携による搬送手段の確保等が今後の課題になる。

物資の募集についても変化がある。以前は一般からの支援も募っていたが、賞味期限切れや使いかけの物資の混載といったトラブルが多く、近年は企業からの支援が求められるようになった。ペット災害対策支援協議会が、発災後1か月を目途に物資を提供する枠組みはあるが、関東で大規模災害が起きれば、その支援母体も被災する。送り方については、SNSの情報は古いものが残り続けるため、基礎自治体や獣医師会が「これが欲しい」という情報をウェブに掲載し、ネット通販の仕組みを使って現地へ届けるなど、必要なものを必要な量だけ送ることが重要だという。支援物資は、整理と処分にも多大な人手と費用がかかる。

医薬品について、谷川氏は率直に語った。ワクチンについては、逃げ込んできた犬の接種状況が分からない場合に5種ワクチンを接種する方針で、行政に確保を働きかけている。医薬品はどうしても人員が優先されるため、獣医師側への配分を中野区と交渉している段階だ。平井氏は、東京都獣医師会の賛助会員に動物用医薬品の卸売販売業をしている企業があることに触れ、災害協定を結び、道路事情などで地域の会社から届かない場合に遠方の卸や薬局から送ってもらえる仕組みを検討中だと補足した。小川氏は、診療を続けられる動物病院が診療所として機能することが理想であり、往診の形も取り得るため、法令に準拠しながら支部内の体制を検討しておくべきだとまとめた。

発災後の時間軸で、役割は変わる

講演では、獣医師会と支部に何が求められ、何を提供できるかを、ステージごとに整理することが有効だとされた。時間が経つほど、問われる内容は変わる。

ステージ 状況 獣医師会・支部の役割
STAGE 01
発災直後
会の体制が整う前に、飼い主が負傷した動物を動物病院へ運び込む。 負傷動物への初期対応。会員の安否確認と情報収集。診療が可能な病院が拠点になる。
STAGE 02
避難所生活期
同行避難、避難所での共同生活。経済的な困窮が重なる。 避難所での動物飼育の支援。ワクチンなど公衆衛生対策、経済支援、繁殖制限処置などトラブル対策。
STAGE 03
仮設住宅期
仮設住宅・みなし仮設へと生活の場が移る。 飼育環境の支援。近隣トラブルの予防と対応。
STAGE 04
復興期
生活の再建が進む。飼い主を取り巻く事情も変わる。 被災家屋の公費解体時などの一時預かりや譲渡の支援。長期的な飼い主支援。

動物病院の備え、点検しておきたいこと

講演と対談で挙げられた自助の項目を、点検用に整理した。発災時の判断は、平時の話し合いがどこまで進んでいるかで変わる。

  • □ 家族の安否確認の方法と、連絡が取れないときの行動を決めておく
  • □ 学校・幼稚園・デイケアサービスなど、離れた場所にいる家族の対応を確認しておく
  • □ 病院に残るか帰宅するかを、家族構成に合わせて想定しておく
  • □ 薬棚・照明・キャスター付き什器を、動かないよう固定する
  • □ 施設内に留まる場合の水・食料を備蓄する
  • □ 停電しても使える電話機を用意する
  • □ 消火器と避難経路を点検する
  • □ 診療が止まったときの保険とBCPを確認する
  • □ 外出中・非番のスタッフとの連絡網と集合のルールを決めておく
  • □ 入院・預かり中の動物について、飼い主との連絡手段を確保する

08 平時から話し合う。そして、まず生き残る

平井氏は最後に、獣医師が普段行っている診療そのものが、災害時に飼い主とペットの役に立つと述べた。自らも被災しながら、被災したペットのために助言し、仲間に連絡を取る獣医師の姿が、飼い主の心を支えている場面を数多く見てきたという。日々行っている仕事に敢えて何かを付け加えるということではなく、通常の診療が災害時にどう提供できるかを、機会あるごとに周囲と話してほしい。それが獣医師会の役割でもある。

谷川氏が挙げたのは、平時の啓発だった。防災訓練を通じて町会の人々と話すと、「そんなことは考えてもいなかった」という提案が出てくる。動物を受け入れなければ一緒に逃げてこない人がいるという現実を、町会の人が口にする場面もある。なぜ避難所に動物が来るのか、一緒に避難することが人命を救助しているのだということを、訴えていかなければならない。

そして、締めくくりは一貫している。

「自助をしっかりして生き残って、そこからまたみんなで集まって共生を作って、周りを助けていく」

谷川久仁