人や動物が罹る感染症には、非常に多数の種類がありますが、その多くが人と動物に共通の病原体により起こります。これらの人と動物に共通する感染症(Zoonosis:ズーノーシス)について、世界保健機構(WHO)は、「脊椎動物と人の間で自然に移行するすべての病気または感染症」と定義しています。わが国では、人の健康問題という視点から、厚生労働省は「動物由来感染症」という言葉を使っています。
人と動物の共通感染症対策に重要な役割を担う獣医師は、人と動物の共通感染症について常に関心と注意を持って日常の獣医療業務に従事する必要があります。特に獣医師は、動物とその飼養者の両者を相手とすることから、動物の診断、治療のみならず、人と動物の共通感染症の発生予防、人への感染やまん延防止のために、人と動物双方への適切な対応が求められます。
そのため、東京都獣医師会では、人と動物の共通感染症に関する啓発や情報提供を目的に平成20年3月に「人と動物の共通感染症ミニ知識ガイダンス」と題した小冊子を発行し、会員獣医師に無料配布を行いました。
この度、当該冊子の改訂版を作成する機会に恵まれたことから、従来の印刷物に替えて、随時、内容の見直しや最新情報の追加掲載が可能なこと、関連する他の有益なサイトへのリンクを設けることにより、より多くの情報提供ができる等の利点を考慮し、印刷物に替えてWeb版としました。各感染症のより詳しい情報を知るための窓口としてこのHPを活用していただければと思います。
このHPは、主に獣医師を対象としていますが、動物の飼養者等、より多くの方々に共通感染症に対する理解を深めていただく一助になれば幸いです。
なお、このHPの作成・掲載は、東京都補助事業「獣医公衆衛生学術振興事業」の一環として行っています。また、小冊子の執筆者の諸先生方には原稿の改訂、新たに加えた共通感染症の原稿作成等について多大なご支援、ご協力をいただきましたことをここに厚くお礼申し上げます。
平成31年2月
公益社団法人 東京都獣医師会
人と動物の共通感染症ガイダンス作成部会
人と動物の共通感染症ガイダンス作成部会
執筆者
青木 博史 日本獣医生命科学大学
荒島 康友 日本大学医学部
飯田 孝 元東京都健康安全研究センター
池田 忠生 元日本大学医学部教授
奥谷 晶子 国立感染症研究所 獣医科学部
木下 優太 日本中央競馬会 競走馬総合研究所
佐藤 克 佐藤獣医科院長
佐野 文子 琉球大学農学部
白井 淳資 東京農工大学農学部共同獣医学科教授
鈴木 博 公益社団法人 東京都獣医師会理事
中川 清志 公益社団法人 東京都獣医師会業務執行理事
前田 健 国立感染症研究所
水谷 哲也 東京農工大学
人と動物の共通感染症ガイダンスWeb版作成部会
青木 博史 日本獣医生命科学大学
池田 忠生 元日本大学医学部教授
井上 正亮 井上動物病院院長
風祭 泰一 風祭動物病院院長
印牧 暁 かねまき動物病院院長
佐藤 克 佐藤獣医科院長
鈴木 博 公益社団法人 東京都獣医師会理事
土屋耕太郎 日生研株式会社
中川 清志 公益社団法人 東京都獣医師会副会長
堀田 明豊 国立感染症研究所
(五十音順、敬称略)
備考
見出しの病名は、人と動物で異なる場合は、動物の病名を用いた。
省略
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成18年法律第106号):感染症法
家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号):家伝法